36.8℃の微熱。
 
そのあと、あたしはお母さんに本当のことを話すことにした。

ここ1ヶ月あたしに元気がなかったのは、単にユカ様とケンカしたからだと言い張ってきたけど。

それだけじゃないものね・・・・。

マリアンヌさんの手紙に勇気をもらって、先生に恋をしていることを話す決心がついた。


「お母さん、あのね、実はあたし・・・・片桐先生が好きなんだ」


1階のリビングに下りて、洗濯物をたたんでいるお母さんの背中に意を決して打ち明ける。

お母さんに恋の話をするのはこれが初めてで、怖くもあり、どこか胸がこそばゆかった。


「・・・・そう」

「うん。それでね、悩んだり迷ったり、いろいろしたけど、クリスマスにケリをつけようと思うの」

「ケリ?」

「告白しようと思って」

「告白って茜、あんた・・・・」


洗濯物をたたむ手がピタリと止まり、お母さんが振り向いた。

あたしは、お母さんの目をじっと見つめ返して言葉を続ける。


「今まで言えなかったけど、先生が好きなの。どうしても伝えたいの、好きだって。・・・・いい?」
 

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