36.8℃の微熱。
 
ないわよって・・・・。

思わずため息がこぼれた。

こんなにあっさりしているものなのだろうか、自分の子どもに“先生が好きだ”と打ち明けられた世の母親の皆さんは。

江田家だけ? いやいや。


「あのさぁお母さん、ココは普通反対するとこなんじゃないの? 相手は先生なんだよ?」

「なによ。じゃあ、茜はお母さんに反対してほしいの?」

「そうじゃないけど・・・・」

「ならいいじゃない」


何を逃げ腰になっているの? とお母さんは首をかしげる。

それからすぐにまたカード探しを再開、その山をかき分け始めた。って、何枚持ってるの!!


「よく考えて言ってる? もうこの際だから話すけど、塾にもバレて先生の立場が危ないときもあったの。あたしの“好き”はそうやってみんなを巻き込むんだよ、お母さんも!止めないの?」

「あ、あったわ〜」

「お母さんってば!」


もうっ!! こんなに真剣な話しをしているのにまだカード!? しかも見つけちゃったし!!

あたしを無視して電話に向かうお母さんが憎たらしいったらない。
 

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