36.8℃の微熱。
 
そう思ったのは、もちろんあたしだけではないようで。


「ひどっ!校長に訴えてやる!」

「問題発言だぞ、バンビ!」


直後、バンビからかい部隊の女子たちをはじめ、クラス中から大ブーイングを受けはじめた。

やはり、というか、焦るバンビにシメシメと思ったのはあたしだけではないようで、ユカ様と王子もにんまり笑っている。


結局、そのあとの出席は、名前のあとに“様”を付けて呼ぶことで校長先生への訴えを取り下げてもらうことになったバンビ。

「浅野旺次郎様、宇佐美ユカ様」・・・・ほかのみんな、と、悔しさを滲ませながら出席を取っていた。

イブなのに災難よね、バンビも。

出席簿で頭を叩かれたのは思いがけず痛かったけど、こんなバンビを見るとちょっと同情しちゃう。

ドンマイ、バンビ。





体育館。

校長先生の話を聞きながら、ふとあたしは思う、終業式の日の朝が賑やかでよかったなと。

湿っぽくなるのが嫌だとか、そういうんじゃなくて、今日は先生にもう一度アタックする日だから。

賑やかに越したことはない。
 

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