36.8℃の微熱。
 
「は〜い、お待たせしましたぁ。眠れなくなるといけないから紅茶にしてみましたけど、先生、お口に合いますかね?」


間の悪いお兄ちゃんに心でブツクサ文句を言っていると、お母さんがリビングに入ってきた。

花柄のティーカップに花柄のお盆ってアナタ・・・・だから、気合い入りすぎだっつーの。


「すみません、お母さん。わざわざありがとうございます」

「いいぇ〜」

「あのね、お母さん。先生、お腹すいてるんだって。何かない?」


先生とお母さんが話したら何かと長くなりそうな気がして、あたしはお母さんがソファーに座る前に聞いてみた。

先生の目的は我が家のご飯、さっさと食べて帰ってもらいたい。


「薫のぶんのご飯があることはあるけど・・・・帰ってくるかしら」

「帰ってきてご飯がなくても、それはお兄の自己責任ってことで。これだけ遅いんだもん、どっかで食べてくるよ。先生に食べてもらってもいいでしょ?」


そう聞くと、う〜んと首をかしげながら時計を見るお母さん。

あたしもつられて見ると、壁時計の針は9時半を過ぎていた。
 

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