36.8℃の微熱。
 
この時間まで帰らないと、仲間と飲み会というのがお兄ちゃんだ。

愛用のバイクも今日はガレージでお留守番なのはさっき確認済み。

今夜は酔っぱらって帰ってくる。


「ね? いいでしょ?」


もう一度ダメ押しで聞いてみる。

するとお母さんは「いいわよ」と言ってキッチンへ戻っていった。


再び2人きりになったリビング。

お母さんと話している間、静かに紅茶を口に運んでいた先生は、ソーサーにカップを戻すとあたしをギロリと見据えた。


「江田ちゃん」

「なんですか」

「早く俺を帰したいのバレバレなんだけど。なんか俺、タダ飯食いに来たみたいじゃない? しかもお兄さんのご飯奪って」

「・・・・そ、そうですかね」

「そうでしょ。もっとマシに言えないの? 俺の印象が悪くなる」


またしても!!

お母さんの前では“いい人”の皮を被っている先生は、あたしの前だと本性をさらけ出した。

全身をチクチク刺すようなその視線、やめてもらえませんかね。


居残りなんて最悪だ!

コンチクショー!!
 

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