36.8℃の微熱。
結局───・・。
「ごちそうさまでした。ホント、美味しかったです。夜遅くに来た上、食事まで頂いてしまって。後日、改めてお礼に伺いますので」
「いいんですよ〜。茜を見てもらっているお礼ですから。これからもバシバシ鍛えてやってくださいね」
「はい。では、おやすみなさい」
「おやすみなさ〜い」
今日の夕飯の唐揚げをきれいに食べてご飯までおかわりをした先生は、満腹になって帰っていった。
相当腹ペコだったみたい。
大食いのお兄ちゃんもびっくりするくらいモリモリ食べちゃって。
お母さんとあたしは、その様子を呆然と見ているだけで終わった。
「よく食べる人なのね」
「ね。あたしも初めて見たよ、先生が食事にがっつくトコ。あんなに食べる人だとは思わなかった」
玄関で先生を見送り、お母さんと洗い物をしながら話をする。
お手伝いはあたしの日課だ。
「塾の先生なんてただ教えるだけだと思ってたわ。それがねぇ。しかもハンサムだし」
「お母さん、今は“イケメン”って言うんだよ、そういうの」