36.8℃の微熱。
「しーっ! 図書館じゃその声はちょっと大きいかな」
「ぁっ!」
王子に会えたことで、あたしの声は大きくなってしまったらしい。
重そうな本を何冊も抱えた格好で出てきた王子は、器用に片腕で持ち直し、人差し指を立てた。
「まぁ、生徒はだいたい俺しか来ないけど、ここで昼寝をする先生がいるんだ。起こしたら後が怖そうなんだよね。だから、ね?」
「うん、分かった」
そっか。
そんな先生が1人くらいいても全然おかしくないよね。
どんな先生だろう。
おじいちゃん先生かな。
「で? 今日はどうしたの?」
「うん、浅野君に頼みがあって。居残り対策、を・・・・」
「居残り対策?」
「そう。今日の遅刻の原因も、その居残りのせいだったり」
そう言うと、王子はプッと笑いながら適当な席を勧めてくれた。
そんなにあたし、おかしい?
そりゃ、頭も洗えなかったし寝癖を直す暇さえなかったけど。
「笑わないでよ。これでも必死なんだからね、あたし」
「ごめんごめん」
んもー。