36.8℃の微熱。
そうだ、そうそう。
あたしはここに和みに来たわけじゃない、気を引き締めなきゃ。
王子に言われて、急いで用意してきた問題と教科書を机に広げた。
どれどれ、とまずは塾で解いている問題に目を通しはじめた王子。
目線は問題に向けたまま、質問を投げかけてくる。
「江田さんは数学がダメって言ってたけど、中でも苦手なのってある? 図形とか証明問題とか、いろいろあるけど」
「あ、うん・・・・全部」
「全部!?」
王子の目があたしに向けられる。
あー、その・・・・かわいそうな子を見るような目はやめてくれないかな、いたたまれなくなるから。
あたしだって知れるものなら知りいんだよ、自分は何ができて何ができないか。
「浅野君ならとっくに分かってるでしょ? 高校の数学に全然ついていけてないの」
「それは授業中の江田さんを見てれば分かったけど・・・・江田さんも自分が何が弱いか理解しないと、俺だってどう教えたらいいか分かんないよ」
「ごもっとも」
王子は困ったように眉毛をハの字にして苦笑いをした。