36.8℃の微熱。
あちゃ〜・・・・。
さっそく困らせちゃったよ。
再び問題に目を戻した王子は、あたしが知る限りでは初めての難問に直面したような顔になって。
あたしはその横顔を見ると申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「よしっ!」
少しすると、そう小さくつぶやいた王子。何やら難問を解く糸口が見つかった様子。
あたしのほうに顔を向けた王子とバッチリ目が合う。
「昨日、江田さんは短期決戦だって言ってたけど、もう少し長いスパンでやっていこう」
「はあ」
「分からないものをそのままにしておくから先生に付け込まれちゃうんだよ。じっくりゆっくり、分かるまで諦めないで。いい?」
「はあ」
「俺が思うに───・・」
そう言って話しだした王子は、あたしがなぜこんなにも数学が苦手なのかをこう説明してくれた。
「先生がつけた赤ペンのあとを見ると、答えを誘導してるように見えるんだ。自力で解かせるんじゃなくて、答えが出るように教えてる。それじゃあ、本当に理解させるのは難しいと思う」
・・・・う〜ん、的確。