36.8℃の微熱。
あたしが驚いたのは、先生に彼女がいたってことだ。
こーんな俺様を好きになる女性がいた、つき合う女性がいた・・・・希少価値はめちゃくちゃ高い。
結果、フラれちゃったってワケだけど、それでも彼女がいたのには驚きを隠せなかった。
一度お目にかかって先生のどこら辺が好きだったのか聞いてみたいくらいだよ、ホント。
そりゃあもう、とことんってくらい、根掘り葉掘りってくらい。
「だからさぁ、江田ちゃん。つまんないから明日ちょっとつき合ってよ。予定もないんでしょ?」
「・・・・はっ?」
「傷心の俺を慰めるとでも思ってさぁ。ねぇ、頼むよ江田ちゃん」
「・・・・」
なんで“だから”なのかはよく分からないけど、先生の俺様魔王っぷりは一瞬の輝きで。
自分で“傷心”なんて言っちゃ世話ないけど、なんだか本当に悲しそうな顔をしていて。
「なんでも好きなのおごるから」
「・・・・行く」
つい返事をしていた。
いやいやいや、けして“おごる”に飛びついたワケじゃない。
・・・・うん、不純じゃない。