36.8℃の微熱。
───*。゚
翌日。
いつもよりちょっとだけお洒落をしたあたしは、今日はなぜか居残りはしないという先生と一緒に車で街に出かけた。
助手席に座ったあたしを上から下まで運転しながら器用に眺める先生は久しぶりに機嫌がいい様子。
思えば、先生とのつき合いは中3の頃からだから、王子やユカちゃんよりもずっと長い。
それくらいのこと、態度を見ただけであたしには分かる。
「なんか今日、かわいくない?」
「普通です」
「そう?」
「ええ、そうですとも」
真っ向から否定すると、先生はただフッと笑っただけで、再び運転に集中しはじめた。
先生と出かけるのがちょっと嬉しかった・・・・なんて、口が裂けたって絶対に言えやしない。
何おごってくれるのかな・・・・と授業中もワクワクしていたなんて、やっぱり絶対に言えやしない。
そう、言うなればこれは・・・・れっきとした“慈善事業”ってこと。
傷心の先生を慰めてあげようという、かわいい生徒の心遣い。
うん、そうだ。
絶対、不純じゃない。