36.8℃の微熱。
 
・・・・そう何度も自分に“不純じゃない”と言い聞かせていると、先生がとある場所で車を停めた。

そこは、最近オープンしたばかりのアウトレットモールの駐車場。

確か・・・・隣には普通のショッピングモールも併設されているはず。


「よし、ここでお昼食べよう!」


そう言った先生は、あたしに軽く笑って車を降りる。

あたしもそれに続いた。





慣れた様子で館内を歩く先生のあとをあたしも必死についていく。

ゴールデンウィークだけあって、今日の人出はかなり多い。

先生は、あたしがついてくるのをチラチラと確認しながら、それでも独り言のようにポツリポツリと言葉を発する。


「実はねぇ、ここで元カノが接客の仕事してんの。んで、今日はちょっとイヤガラセ」

「・・・・へぇ〜。タチ悪いですねぇ先生って。そりゃフラれます」

「でしょ〜? だよねぇ・・・・」


ん? さっきまでの機嫌のいい先生は一体どこに行ったんだ?

「ハァー・・・・」とため息をついた先生の背中、猫よりも丸い。


「先生ー?」
 

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