36.8℃の微熱。
それがすごく切なく見えたあたしは、そう呼びながら先生の隣に並んでみる。
そして、横から見上げて「どうしちゃったんですかぁ!」って元気づけようとしたら・・・・。
フイッ。
顔をそらされた。
「江田ちゃんは何が食べたい?」
それから先生は、横を向いたまま強引に話題を変えようとする。
たぶん、フイッっとそっぽを向いたときにたまたま飲食店のマップが目に入ったからだ。
あたしもしっかり見えたし。
「え?」
「パスタ屋さんとか焼き肉屋さんとか。そうそう、渋いところでお蕎麦屋さんもあるよ」
だって、マップのまんま、料理の写真を見たまんま言ってるもん。
よっぽど落ち込んでいる顔を見られたくないのかな、なんて。
そう思った。
「・・・・あー、えっと、パスタで」
「オッケー」
「ごちになりまーす!」
「は〜い」
だったらあたしも、無理に深入りはしないでつき合ってあげよう。
“イヤガラセ”なんて言ったけど本当は会いたいだけ・・・・それがあたしには分かるから。