ヤキモチ焼き彼氏くん♪
出てくる時そんなお母さんの怒鳴り声が聞こえたけど、今はそんなのにかまってる暇なんてない。

いっ急がなきゃ。

慣れない高いヒールを履いてるにも関わらず走る私。

みんなのとこにつくまでには、
もう足が痛くなってきてしまっていた。


「鞠乃、おそーい」

親友の莉都が私の頭を軽く叩きながらいう。

「ごめん」

私は莉都がこれ以上機嫌を損ねないように必死に謝った。
だってこの子、莉都ってば起こると鬼になったようにすごい恐いんだもん。

あれは私のお母さん以上だな…(失笑)

前だって私が集合時間15分過ぎてものすごい怒られたしね…。
その時から、
莉都が怒りっぽい性格だって知ったんだっけ?

きょっ今日もあの莉都の説教うけなきゃいけないのかな?


「はぁ……、
鞠乃はいつも集合時間すぎてから来るわよね…」

莉都が哀れな目で私を見てくる。
こっこわ――…。(なんて口にだしたらきっと殴られるだけじゃすまされないな…)

「まぁ、今日は鞠乃の誕生日だしね。
今回だけは大目に見るわ」

よかった…。
そう思った途端一気に体が軽くなった気がした。

「よかったなー鞠乃。
お前の誕生日じゃなかったら、
こわ―――い、鬼みたいな莉都に殴られていたとこだぜ?」

そう私の頭をさすりながら言ったのは、
小学校からずっと同じクラスの充。

いわゆる“腐れ縁”っていうのかな?

うん、まぁ…そんな感じ。


「みっみつる……」

「ん?どうした鞠乃、
そんな怖い顔して」

「うっ後ろ………」

「後ろ?」


充が後ろをそーっと向く。

「ぎゃぁああああああああああああああああ」

その後ろには、
牙をむいたような怖い莉都がいた。

「ごめんなさい、
ごめんなさいぃいい!!!!!
莉都様ぁあああああああああ!」

あらら、
哀れだな、充。

私は莉都にいじめられている充の姿を見て「クスッ」と笑ってしまった。


「ったく…あいつらしょーもねぇーな、
今日は鞠乃の誕生日だってのに、なぁ?」

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