少女A。
“友達”
岡田はあたしに気兼ねなく言う。
今現在、あたしが友達と呼べるのは、岡田しかいないと知ってながら。
悪気はないんだろう。
だって、あたしの質問にも不思議がることなく答えてくれる奴だから。
「ねぇ岡田」
「ん?」
「――好きだよ」
「うん」
「大好き」
「うん」
誰かに大好きと言ってみたい。
本気で大好きと言ってみたい。
心から。
――キーンコーン
タイミング良く予鈴が鳴る。
岡田はパタンと携帯を閉じた。
「岡田、次の授業出るの?」
「当たり前じゃん」
「サボればいーのに」
「もう俺ら受験生だぞ?」
顔を苦くしかめる岡田。
岡田は至って普通だ。
だって、ちゃんと受験生意識が出来ている。