少女A。

「皆気合い入ってるよなー」

そうあたしの横で椅子をグラグラ揺らしながら、岡田は言う。


「神谷、急がなくていーぜ。別にこんな張りぼて、すぐ作れんだから」

岡田は神谷の前に置いてある木の絵をポンポン叩きながら、優しく言った。

“そんなゆっくり出来ないんだ”と、あたしは顔をしかめる。


「別に木くらいいいじゃん。前に使ったのないの?」

岡田は面倒臭そうに、あたしと同じく顔をしかめた。


岡田はバスケ部だ。

バスケ部の副部長だ。

本当にバスケが出来るのかは定かじゃないけど。


「今まではずっと都会が舞台だったんだよ。それに一枚のデカイ紙にそのまま描いてたし」

「今回は違うんだ?」

バスケ部、岡田は言う。


「シンデレラをやんの。簡単でしょ、それに分かりやすいし。無理に脚本書く手間省けるし」

「それどうせお前の案だろ」

「うん」

しつこいけど、バスケ部岡田は頬杖をつく。

神谷はずっと黙って、絵の具を塗り始めた。





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