少女A。
「嬉しかったんだけどなー、副キャプテン。でも考えてみたら、上手くもないし下手でもないし。微妙な位置だったんだな」
“難しいよ、ほんと”と、そんなことを改めて考えてた岡田のほうが難しいと思った。
「第一ややこしいんだよ日本は。外国では思ったこと素直に言うんだって。そっちのが楽だよな」
「でも悲しくもなるじゃん。スバズバ本音言われたら」
「そこは慣れだよ。お互い分かってるんだし。したら神谷も喋るかも」
岡田はあたしを退けて、神谷の横に移った。
肩に腕を回し、親友気分のようで。
「なんで喋るようになるの? 怖くて余計ダメになるじゃん」
「あんな。神谷はただ隠されてんのが嫌なんだよ、本音を」
堂々と、まるで神谷の気持ちを代弁したかのように言われた。
当たってるかどうかは別だけど。
「だから日本が外国みたいになれば――って神谷何やってんだよ!?」
岡田は大袈裟に驚く。
神谷はどこを見ても緑色の中に、黄色の絵の具をぶちまけたんだ。
ドジったとかじゃなくて。