少女A。
従姉妹。
帰り道はいつも嫌いだ。
人通りが疎らで、あたしが浮き彫りになっている。
汗くさい人込みに紛れていたほうが、何故だか安心できた。
空が夕暮れているのは久々だ。
夕暮れといっても、青が黄色がかってるだけで、今にでも緑色になってしまいそうだ。
そんな空なんて、見上げないで歩こう。
赤い自販機の横を通ると、何故か岡田の匂いがした。
でも必ず隣に居やしないんだ。
付き纏う灰色の影の子は、あたしと同じ暑苦しい長袖を着ていた。
あぁ、明日から夏服にしよう。
そうあたしに思わせた。
歩いている舗道は、外国のどこかのなんとかストリートのように洋風掛かっている。
黒いローファーが踏み締めてるアスファルトは、レンガのようで。
あたしをまた場違いにさせるんだ。
「ねぇ見上げてみてよ。そこには幸せが待っているから」
昼ぶりに呟いたな。
そんな希望、一つも持っていないくせに。