少女A。

無意識に吐いた言葉通り、見上げると、大きなショーウインドウがあった。

キラキラ光る店内。
お姫様が居そうな空間。

まるでおとぎの国に吹き飛ばされたかのようだった。


ケースの中で一際目立っている灰色のワンピースに、真白いミニドレス。

そして硝子で出来た、手の平サイズであろう靴。


まさにシンデレラの世界。

あたしの憧れた世界。


昔々の話だ。

あたしはシンデレラになりたかった。

理由は特にない。

ただ男の子がヒーローに憧れるように、あたしもシンデレラになりたかった。




そうだ。
いつも、そう。

このショーウインドウを見ながら、いつも思ってた。


輝けるのはいつなんだろう。


でも、変わりたくはなかった。

どうしてか、このままでいたかったんだ。








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