少女A。

「今日遅かったじゃん」

「うん。もうすぐ夏だから部活時間長くなったんだ」

「へー」


ヒロはどんな部活なんだろう。

いや、どんな部活に入りたかったんだろう。


入学式の次の日、一緒に登校しようと家の前で待っていたら、ヒロのお母さんに遅刻するから先に行ってと言われた。

それから、ヒロの制服姿は見ていない。

あたしは一年のときのクラスで友達になった人はいない。

いや、岡田がいるか。
いや、岡田とは今年に入ってからだ。

他の、ちょっと仲良くしてくれた子も、二年生になってから。


――何故だろう。

作りたくなかったというか、作る気がしなかった。

小学校の卒業式から、中学校の入学式までの間。

誰でも考えることだ。

あたしもそれと同じ。


――怖かった。



別に、彼女のせいではないけれど。


「ねぇ、いつも何をしてるの? 暇じゃないの?」

これを聞くのは邪道だろうか。

あたしも今まで気が引けてきた。

でも、今になって急に、どうしようもなく知りたくなったんだ。






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