少女A。

「暇だよ、すっごく。いつも同じCD聞いてテレビ見て。特に変化もないしさー。でも外に出るの嫌いだし。今さら学校も無理だし」

“どーせ卒業できるし”


「っ、じゃあ日曜遊びに行くよ。DVD持ってくし」


なんとなく、ヒロが次に言う言葉が想像出来て、無理矢理約束を取り付けた。

別に予定なんて最初っからないんだ。

断られることなんて、考えもしていない。


「あー、その日彼氏と出掛けるんだ。ごめん!」


そう、たいていそう思ってるときは、必ず。

上手くいくなんて決まってないんだ、そう決まっているんだ。


「彼氏、か。ならしょうがないね」


学校にも行かずに、どうやって彼氏が出来るんだろう。

まぁ、ヒロだって少しは外に出るときくらいある。

そう不思議なことじゃない。


今は家に居ても、顔の見えない彼氏だって出来る時代なんだから。


そう、不思議なことじゃない。






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