ヤンキー少女とイケメン男子
「ってか、メイク派手だね。」

「うっ、うん…。」

なんか、なんでだか分らないけど、

“メイク派手だね”って言われただけで、傷ついた。

「でも、カワイイ…、よ???」

「えっ…。」

(カッ、カワイイ!?)

“カワイイ”なんて、人生で初めてだった。

昔からケンカしかやっていなくて、近所の人や、同じクラスの友達からは、

“こわーい”“なんなんだよアイツ”とかしか言われたことがないし…。

“カワイイ”の一言が、とても嬉しかった。

「このまま…、練習見ててもいい???」

「うん。」

そう言って、真は校庭に向かって走って行った。

真の練習を見ているだけだけど、

アタシにとってはすごく、幸せな時間だった。



少し時間がたつと、この間の女子たち、

“真ファン”が近づいてきた。

「あ、あなた、この間の…。」

「あれ???誰だっけ???」

「ほらほら、この間、真くんと話してたあの“ヤンキー”だよ!!!」

「あー、あの、“ヤンキー”か。」

ムカついた。

すっごくムカついた。

「テメェ、誰に向って口聞いてんだコラァ!!!」

「うっわー、こんなヤンキー、真くんには合わないよー。」

アタシは、言葉が何にも出なかった。

やっぱり、真とは違うもんね…。

アタシたち、“ヤンキー”だもん…。
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