今、空に太陽は昇っていますか?
階段を降り、出口に向かう途中、空は段差に躓き(つまづき)、剥き出しになっていた壁の釘に右目の下を擦ってしまった。

「空っ!!大丈夫!?」

「…うん。」

「血出てる…。」

慌てる陽。

「大丈夫だよ☆ハンカチあるし。ほら!」

「本当、ごめん。俺がこんな所に連れてきたから。」

「大丈夫だって♪これくらい!ねっ!」

「だけど、傷が残ったら…。」

「大丈夫だよ♪本当に気にしないで!また一緒に来ようね☆」

こんな時でも空は笑顔だった。

俺は空の嫌な顔を見たことがない。

それどころか、空は人の悪口なども一切言わない。

いつも笑っている、優しい子。

そんな空に俺は惚れてしまったんだ。



あの日、空は俺のことを、一つも責めなかった。
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