今、空に太陽は昇っていますか?
「陽…?!」

空…。

すぐに分かった。

空だと。

昔と変わらない、


綺麗な瞳――…

長い黒髪――…

優しい声――…


俺の愛しい人。

自然に顔が緩んでしまった。

「何やってんだよ!!こんなに雨が降ってるのに。震えているじゃねーか!…何でだよ…何で居るんだよ。」

俺は、空にビニール傘を手渡した。

「覚えててくれたんだ…。ずっとずっと怖かった。来てくれないかと思っていた。陽…ごめんね。あの時私…。」

「悪いのは俺の親父だよ。何で謝るんだよ!!」

「会いたかったよ、ずっと…。」

空が俺の胸に身を投げ出そうとした時…




















俺は空を避けたんだ。
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