今、空に太陽は昇っていますか?
「…陽。」

自分も辛かったのに、何でそんなに私に優しくしてくれたの?

なんで、いつも助けてくれたの?

涙がこぼれ落ちてきた。

陽がたまに見せる、悲しそうな顔の原因が分かったかもしれない。

私は何も知らなかった。

陽自身凄く大変だったのにもかかわらず、いつも私の事を一番に気に掛け、優しさを沢山くれた。

私は、大切な人の辛さに気づく事すら出来なかった自分を、何度も何度も責め続けた。

気が付くと私は、陽の家に電話を掛けていた。

何を言えば良いのか分からない…

ただ、君の声が聞きたかった。

「はい。北山です。」

「及川美空です。太陽は居ますか?」

「ちょっと待ってね。」

「はい。」

「陽…。」

「空…大丈夫だったか?」

「うん、陽が助けてくれたから。本当にありがとう。」

また涙が溢れ出してきた。

「泣いてるの?ごめんね、もっと早く行ってやれなくて。」

「…。」

「だけど、もう大丈夫だから。二度とあいつらは空に近づかないよ。」

「ううん。違うの。嬉しくって…陽が助けてくれたから。」

「俺は別に何もしてないよ。」

「陽…会いたいよ。今から行ってもいい?」

「ごめん。今はもう遅いし無理だよ。明日にしよう。」

「そうだよね。うん、明日。」

「じゃあ、またね。」

「うん。ありがとう。」

あの事は何も聞けなかった。
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