今、空に太陽は昇っていますか?
空は僕の白衣の裾を掴んでいた。

それが嬉しくもあり、悲しくもあり、とてもとても辛かった。

僕は空の手を外そうとしたが、その手は力強く握り閉められていた。

「ダメだよ、ソラ。離して。」

それでも離さない空。

そんな空を見て、揺らぐ気持ちを抑えながら僕は言った。

「よかったね、空がいつも見上げていた太陽が今、目の前にあるんだよ。本当によかった。」

今、自分が言っている言葉が本心なのかそうではないのか分からない。

だけど、そう言わなきゃいけなかったんだ。

君とした約束。

空に太陽が昇る日は今だから。
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