今、空に太陽は昇っていますか?
☆陽と母☆
「太陽…あんた、美空ちゃんの事好きだったんでしょ?…ごめんね、本当にごめんね。」

俺は、ただただ首を横に振った。

だけど、母さんがあまりにも泣くもんだから、本当にもう二度と空に会えないような気がして、この日俺は初めて泣いたんだ。

あれだけ喧嘩をして、裏切られていたのにもかかわらず、母さんはまだ父さんを愛していたんだ。

人を好きになる事は理屈じゃないんだ…


今日、俺と母さんは大切な人を失った。










世の中に、こんなにも涙が溢れ出す程悲しくて辛い事があるとは思ってもいなかった。

だけど、あの時はもうこれ以上の悲しみはないと思うようにしていたんだ。

今日さえ乗り越えれば…今日さえ。

そう思ってずっと暗い道を歩んできた。

いつか見える、光のあるソラを目指して…

















でも、世の中はそう甘くはなかった。




俺は、光どころか暗闇の下へと向かって行ったんだ。










空。

君は今、幸せですか?
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