今、空に太陽は昇っていますか?
「お願いです!!俺には空が必要なんです。お願いします。会わせて下さい!!」

「駄目だ!!」

おじさんは強い口調で言い放った。

それでも俺はおじさんの腕を掴み、必死に頼んだ。

「美空はもう君を必要に思っているどころか、君の事など忘れているよ。あぁ、今付き合っている人も居るようだ。」

「え?!」

「糸井病院の息子さんで、君とは違って髪も黒く、とても好青年だよ。空は今幸せなんだ。」

「…。」

「だから、君には美空に二度と近づかないで欲しい。君と美空じゃ、住む世界が違いすぎるよな?」

おじさんの腕を掴んでいた手が落ちた。

一気に全身の力が抜けていくような気がした。

「頼むから、変な影響を与えないでくれ。君のような髪で、だらしのない服装でここら辺をうろつかれたら、ご近所にも迷惑なんだ。もう帰ってくれ。」

おじさんの言っている事が正しくて、何も言えなかった。

俺は犯罪者の子供。

俺と空の家族は、加害者の家族と、被害者の家族。
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