蝉時雨を追いかけて
犯人
6月もいよいよ終わりという頃になった。
拓馬が北村麗華を部屋に入れた日からは、もう2週間が経っていた。
あの日から、彼女は毎日拓馬の部屋へくるようになった。だが、拓馬はまだ部屋から出てこない。
ふたりの間にどんなやりとりがあったのか、おれは知らない。
おそらく、まだ完全にふたりの関係が戻っているわけではないのだろう。
おれの想像だが、今は北村麗華が拓馬からの信頼を取り戻すために毎日毎日、がんばっているのではないだろうか。
「オイ拓海、いよいよ来週ね」
おかっぱが隣で息を切らしながら、鼻の穴をなくしたくなるくらいの臭いを放つ。
ちょうど夜の練習を終えたところだった。
「ああ、そうだな」
夏の大会に出場する選手を決めるための選考試合は、いよいよ来週にまで迫っていた。
おかっぱが唐草模様のタオルで首元をねっとりとなでる。
「オイ拓海、あと一週間、どうする? もう少し練習量増やしてみる?」
拓馬が北村麗華を部屋に入れた日からは、もう2週間が経っていた。
あの日から、彼女は毎日拓馬の部屋へくるようになった。だが、拓馬はまだ部屋から出てこない。
ふたりの間にどんなやりとりがあったのか、おれは知らない。
おそらく、まだ完全にふたりの関係が戻っているわけではないのだろう。
おれの想像だが、今は北村麗華が拓馬からの信頼を取り戻すために毎日毎日、がんばっているのではないだろうか。
「オイ拓海、いよいよ来週ね」
おかっぱが隣で息を切らしながら、鼻の穴をなくしたくなるくらいの臭いを放つ。
ちょうど夜の練習を終えたところだった。
「ああ、そうだな」
夏の大会に出場する選手を決めるための選考試合は、いよいよ来週にまで迫っていた。
おかっぱが唐草模様のタオルで首元をねっとりとなでる。
「オイ拓海、あと一週間、どうする? もう少し練習量増やしてみる?」