蝉時雨を追いかけて
 しまった。北村麗華と話したことを、おかっぱに言うのをすっかり忘れていた。


「ああ、2週間ほど前に話したな」


「ちょっと、それなら早く言いなさいよ! わざわざ聞かないでいてあげたのに。それで、なにか収穫はあったの?」


「そうだな、北村麗華がゲジの娘ってことを知ったくらいか」


「ゲジの娘?」


 意外にも、おかっぱの反応は薄い。眉間にしわと臭いを寄せて、なにか考えているように見える。


「ああ、意外だよな。苗字が違うのは、両親が離婚してるかららしい。ゲジってバツ1だったんだな」


 おかっぱがはっとした表情を見せた。


「そういうことだったの。それならアリエールわ」


「なにがアリエールなんだ?」


「納豆ちゃんは犯人じゃなかったのよ。そうよ、あんなオッパイの大きい子が犯人のはずがないわ」


「胸の大きさは関係ないように思うが」
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