蝉時雨を追いかけて
「なんで今まで気付かなかったのかしら。あの人、元々影でコソコソのぞくクセがあったじゃない」


「だからなにがだよ」


「まだわからないの? 鈍い子ねェ。つまり裏サイトに書き込みをした犯人は、ゲジだったのよ」


 おかっぱの言ったことがすぐには信じられなかった。が、おかっぱの勘はバカにできない。


「もしそうだったとして、証拠はあるのかよ」


「もちろんないわ。でも、なければ作ればいい。違う?」


「作るったってどうすればいいんだよ」


「トラップを仕掛けるのよ。マネージャーを使ってね」


 おかっぱは突然、「イヒヒヒヒ」と笑い出した。

おれは、どうしようもないくらいの不安に襲われた。
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