蝉時雨を追いかけて
「なんだっ、おまえたちっ!」
「やっぱりゲジが犯人だったのね。もう逃げられないわよ」
北村麗華がゲジのほうへ歩き出した。おれもそのうしろに従った。
彼女は、ゲジから少し離れたところで立ち止まった。
おれは濡れないように、そっと傘を北村麗華に寄せた。
「ねえ、お父さん。どうして写真なんか撮ったの?」
「それはっ、そのっ、個人的なコレクションだっ!」
ゲジは動揺を隠せず、ポケットから取り出した毛抜きで、何本も何本もまゆ毛を抜いた。
北村麗華は動じず、ただゲジの顔を見据えている。
「なんでうそをつくの? 私見たよ、お父さんの裏サイトへの書き込み」
ゲジのまゆ毛を抜く動きが止まった。
反対側のポケットから手鏡を取り出し、自分の顔を見つめている。
「……しかたなかったんだっ! 麗華を守るためにはっ!」
「やっぱりゲジが犯人だったのね。もう逃げられないわよ」
北村麗華がゲジのほうへ歩き出した。おれもそのうしろに従った。
彼女は、ゲジから少し離れたところで立ち止まった。
おれは濡れないように、そっと傘を北村麗華に寄せた。
「ねえ、お父さん。どうして写真なんか撮ったの?」
「それはっ、そのっ、個人的なコレクションだっ!」
ゲジは動揺を隠せず、ポケットから取り出した毛抜きで、何本も何本もまゆ毛を抜いた。
北村麗華は動じず、ただゲジの顔を見据えている。
「なんでうそをつくの? 私見たよ、お父さんの裏サイトへの書き込み」
ゲジのまゆ毛を抜く動きが止まった。
反対側のポケットから手鏡を取り出し、自分の顔を見つめている。
「……しかたなかったんだっ! 麗華を守るためにはっ!」