蝉時雨を追いかけて
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夏休み直前。いよいよ夏の大会の日がやってきた。大会は一週間にわたって行われる。
おれはその試合会場にいた。会場は運動公園内にあるテニスコートだ。
コートが4つ並んでいて、おれは他の部員とともに、フェンスの外から別の試合を眺めていた。
拓馬は結局、きていない。北村麗華でも説得できなかったのだろうか。それとも。
「拓海ちゃん」
聞き覚えのある声。振り向くと、そこには胸元に深いカットの入ったシャツを着た、納豆大好き茨木ゆかりがいた。
「茨木さん! 観にきてくれたのか?」
「うん。拓海ちゃんじゃなくて、おかっぱちゃんを観にきたんだけどね」
おかっぱを観にきたなんて、そんなばかな。おかっぱの言っていたことは本当だったのか。