蝉時雨を追いかけて
「拓馬のことですか?」
「そうだっ! 拓馬は進路がまだ何も決まっていないっ!」
ゲジは拓馬の担任ではないが、顧問として拓馬のことを心配しているのだろう。
拓馬が学校へこなくなったときはまったく動かなかったゲジだが、きっとあのときは北村麗華に近付く拓馬を嫌っていたのだ。
ダブルスを組むとき、おれたちを応援すると言ったのも、拓馬への対抗心のようなものだったに違いない。
「テニスの推薦はないんですか?」
「ないっ! 春までは声をかけられていたが、今回の件で白紙になった」
大学側からしてみれば、大会に出ない選手など必要ないということなのだろう。
これは大変なことになった。テニスで大学に入れないのであれば、拓馬の学力でどうにかなる場所があるのか謎だ。
「それどころかっ、このまま学校にこなければっ、卒業も出来なくなるかもしれないっ!」
「わかりました。拓馬と話をしてみます」
これはおれの仕事だ。拓馬が学校にこなくなったのは、おれのせいなのだから。
「そうだっ! 拓馬は進路がまだ何も決まっていないっ!」
ゲジは拓馬の担任ではないが、顧問として拓馬のことを心配しているのだろう。
拓馬が学校へこなくなったときはまったく動かなかったゲジだが、きっとあのときは北村麗華に近付く拓馬を嫌っていたのだ。
ダブルスを組むとき、おれたちを応援すると言ったのも、拓馬への対抗心のようなものだったに違いない。
「テニスの推薦はないんですか?」
「ないっ! 春までは声をかけられていたが、今回の件で白紙になった」
大学側からしてみれば、大会に出ない選手など必要ないということなのだろう。
これは大変なことになった。テニスで大学に入れないのであれば、拓馬の学力でどうにかなる場所があるのか謎だ。
「それどころかっ、このまま学校にこなければっ、卒業も出来なくなるかもしれないっ!」
「わかりました。拓馬と話をしてみます」
これはおれの仕事だ。拓馬が学校にこなくなったのは、おれのせいなのだから。