蝉時雨を追いかけて
 ふたりで呼ばれたのだから、ダブルスに関係することなのだろう。

だが、それくらいのことは当然おかっぱも気づいているだろうから、わざわざ言うこともない。


「オイ拓海、最近ゲジのヤツ、やけに冷たいと思わない? オレたちのことをちょっと避けてるような気がするのよね」


「ああ、そうだな」


 それはおれも感じていたことだった。

ゲジは気づいたら練習場にいて、部員にアドバイスを与えて消えていくことが多いのだが、最近おれたちに話しかける回数がずいぶん減った。

それだけじゃなく、話をするときも、どこか突き放したようなセリフが多いのだ。

気のせいなのかとも思っていたが、おかっぱもそう感じていたということは、まず間違いないのだろう。
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