馬鹿寮長と天才不良
そこまでいうのなら、やっぱり証拠っていうかなんか、そんな感じのがあるんだよね?
「なんで那智君だって?」
「お金がないって気付いたその日はわからなかったけど、次の日になってわかったんだ。
机の中に僕のサイフが入っていたんだ。
さらにあいつは前日に十数万のピアスを買ってたんだ」
「ま、あいつは違うっていってたけどな」
・・・違うって、言ってたんだ。
「誰も那智君の事を信じなかったの?」
「どうせ嘘。あんな奴の言うことなんて全部嘘だってわかりきっているから」
なんで
「なんで決め付けるの」
「信じるだけ無駄でしょう。あんな不良」
稲葉君はハッと鼻で笑いながら言った。
「不良の事は不良が1番の理解者なのか、それから霧澤達も来なくなったんですよ」
「・・・ふーん」
だからかっこよくても誰も騒がないんだ。
そりゃそうだ。
だって泥棒なんてしたんだから。
だけどさ
「それが真実だなんて、私は思わない」
立ち上がりながら私は言った。
2−Aの皆は私をポカン、と見ている。
「人を見かけで判断して、内面を見ない人は、私の大嫌いの部類に入るから」
スッと目を細めて皆に言い放つと私はその場を去った。
2時−Aの皆に対して怒りが込み上げるなか、同時に自分は無責任だったかもと思った。