馬鹿寮長と天才不良
テント下には数人の先生と生徒会メンバーがいて打ち合わせをしていた。
「な、鳴海先生!」
その中から鳴海先生を捜し出した私は少し慌てた感じに呼んだ。
むろん、鳴海先生の他の皆も私を見た。
「ちょっと来て下さい!!」
「ど、どうした?」
鳴海先生のほうはなにかあったのかというふうな顔で私を見ている。
「いーから来て下さい!」
「あ、ああ。すみません、ちょっとぬけます」
鳴海先生の腕を掴み私は中庭へと連れ出した。
だってそこしか誰にも見られない場所が思い付かなかったんだもん。
「とゆーわけで、教えてください」
「いや、なにを?つーかなんかあったんじゃないのか?」
「私そんなこと言ってませんよ?」
「・・・」
や、まあ騙そうとは思っていた。
だから慌てた感じに呼んだのだから。
「とにかく、教えてください」
「だから何を!」
「去年、1番−Aのクラスで冴宮那智君が稲葉君のサイフを盗んだ事について」
私がそれをいうと鳴海先生は軽く目を見開いた。
だが直ぐに目を細めて私を睨んできた。
「なんで今更そんな事を聞く?面白半分できくのならおこるぞ」
「ち、違います!
ただ、那智君が犯人じゃないって証明したいので」
こういう時の先生は本当に恐い。
だから私は慌てて違うと否定して理由を言った。
うん。それだけだったんだけど、なぜか先生はさっきよりも目を見開いて私を見たのだ。