馬鹿寮長と天才不良
「那智君が去年、稲葉君のサイフを盗んだって事件、理事長知っていますよね?」
「うん。謹慎処分を出したのは私だから」
「那智君自分はやってないって言ってたんですよね?なのになんで?」
私がそうきくと、理事長は眉をハの字にさせて笑った。
「私って、かんじんな時に頼りにならないんだ」
「え?」
どういう意味なのかきこうと思い、口を開いたその瞬間。
『〜♪〜♪〜♪』
「あーっと!ごめんなさい藍華さん!もう私帰らなきゃ」
理事長の携帯にメールがきたみたいで、確認したとたんメチャ焦った顔をした。
どうしたんだろ?
「夜分遅くに失礼致しました。それでは藍華さん、さよなら!」
そう言って理事長は背後の窓を開けるとそこからヒラリとおりた。
ってえぇぇ!!?
「理事長ーっ!!?」
私は慌てて窓辺までいくと身を乗り出して下を見た。
すると寮の門へと続く道を走っていく理事長の後ろ姿が見えた。
な、何者なんだ理事長