馬鹿寮長と天才不良
とりあえず私は那智君の部屋に来た。
体育祭に出てもらうために。
<コンコンッ
「那智君いますか〜?」
呼びかけてみたけど返事はなかった。
アレ、いないのかな・・・。
「勝手に入ります」
「勝手に入らないでよ」
え?
「あ、那智君。ホントにいなかったんだ」
居留守してるかと思った。
だってこの前もやっていたから。
「なんのよう?」
「体育祭、出てください」
「ヤダ、メンドー」
即答・・・まあ想定内だったけど。
那智君はそのまま部屋に入っていった。
扉が開けたままってことは、入ってもいいのかな?
「藍華ってしつこい。もう諦めたら?」
床に座りテレビを見始めた那智君はテーブルに肘をつきながらこちらを見ずに言った。
「那智君こそ、いい加減学校行こうよ」
「行かない。いってなんの利益になるわけ?」
チラッとこちらを見て那智君は言った。
利益って
「特にないかな・・・」
「はぁ?」
那智君は顔ごとこちらを見て怪訝な顔をした。
だって利益って言われてもたいしてないよ。
「朝は早いし、勉強はメンドーだし、ムカつく奴はいるし、体育とかマラソンが特に有り得ないコトだし、寧ろ最悪だね」
毎年毎年私マラソンビリなんだよな。
で、上位の皆様方と息きらしながらゴール目差すんだ。