馬鹿寮長と天才不良
利益はない。
だけど
「だけど、それでも学校に行くのはそれ以上に楽しいコトがたっくさんあるからだよ」
私がそういうと那智君ははっとしたように見えた。
気のせいかな?
「友達と一緒に馬鹿やったり、先生からかったり、笑いあったり、時にはつらいコト悲しいコトだってあるよ」
「・・・」
「だけど、それを塗り潰すくらい楽しいコトがあるんだよ。嬉しいコトがあるんだよ」
「だから、学校に行くって?」
無表情でこちらを見てくる那智君に頷く。
「とゆーわけで、学校に行って下さい那智君」
私が留年しちゃってもいいの!?
「藍華は何も知らないからねぇ」
「・・・那智君が稲葉君のサイフを盗んだコト?」
「!・・・なんだ、知ってるんだ」
私が知っているコトがそんなに意外なのか、目を見開いていた。
でも直ぐにもとの無頓着な顔に戻った。
まあどっちもカッコイイけどさ。
「藍華はさ、どっちを信じる?
先生と俺」
テレビを消してこちらを体ごと向けてみてきた。
先生と那智君、どっちを信じるか?
「そんなの那智君でしょ」
きっぱりと言い放った私を那智君はぱちくりとしていた。