馬鹿寮長と天才不良
グラスを辻夷さんの前におくと、あ、と小さく声を出した。
「このカルピス、もしかして那智の?」
「あ、はい。よくわかりましたね」
「いつも飲んでたから」
そう言って懐かしむ様にグラスをみる。
「・・・あの、ちょっと聞いてもいいですか?」
「?なぁに?」
・・・聞いてもいいのかな?
これってプライバシーの侵害になったりしないよね・・・。
「・・・那智君が、同じクラスの子からお金を盗んだ事知ってますよね?」
恐る恐る私がきくと、ストローを持っていた手が小さく反応した。
辻夷さんはふぅ、と小さく息をはくとグラスを置いた。
「・・・藍華ちゃん、ある程度は話を知ってるのね?」
私はコクンと頷く。
「那智が犯人だと思う?」
心の奥底を覗き込む様に真っ直ぐと私を見ながら問い掛けてきた。
「思いません」
「理由は?」
「那智君は自分に疑いがかかるようなヘマはしないと思います」
なんか那智君、そんな馬鹿ではないと思うんだよね。
私がそういうと、辻夷さんは驚いた様に私を見る。
すると口元に手をあてて肩を震わせて笑い始めた。
「ちょ、なんで笑うんですか!!///」
なんか私変な事言った!?