馬鹿寮長と天才不良
むーっとしていると、辻夷さんがそれに気づいてゴメンと言った。
笑いながらだったけど。
「確かに那智はそんなヘマしないわね」
納得しながら辻夷さんはまた一口カルピスを口に含んだ。
「藍華ちゃんは、人を短い時間のうちに観察するのね」
か、観察?
「ど、どういう・・・」
「んー・・・人の顔色をうかがうってわけじゃないけど・・・その人の性格を理解するって言うのかな?」
「ッ、」
顔色をうかがう・・・まだ直ってなかったのかな?
「・・・・・・そろそろ私帰るね」
腕時計を見て立ち上がった辻夷さん。
「もう帰っちゃうんですか?何か用事があったんじゃ・・・」
「いいの。また来るから・・・ねぇ藍華ちゃん。私が此処へ来たこと、誰にも言わないでおいてね?」
「え・・・」
「それじゃあ」
「あ、さよなら・・・」
どうして内緒なんだろ?
去っていく辻夷さんを見ながら、私は首を傾げた。
「倉持はどうした!!」
「あの・・・寮へと消えて行きました」
「〜〜〜ッ、アイツを放課後職員室へと連れて来い!!」
と、鳴海先生が怒っているのを私は知らなかった。