MH
prologue
薄暗い部屋。

冷たい手術台の上。

一人の青年が手足を拘束されたまま、叫ぶ。

「何のつもりだ!ここはどこだ!俺に何をしようとしている!」

成程。

どれももっともな質問。

しかし私はそのどれにも答える気はなかった。

「本城隼人君」

手術室を一望できる二階の一室、その大きな窓から。

私は青年…本城隼人に呼びかけた。

「おめでとう。君は『MH』の第二号被験者として選ばれた」

「えむ…えいち…?」

唯一自由に動く首。

その首を起こし、彼は私を見る。

逆光で、彼の方からは私の姿はシルエットしか見えない筈。

そんな彼によく見えるように。

私は一歩前へと踏み出した。

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