ラグナレク
「一先ず、ずっとこんな調子でペースを乱すようじゃ君の話を聴こうという気も起きないよ。―――バリーと仲良くしてくれるって、誓える?もし無理なら何用かは知らないけれど………さよなら、だ」








僕の発した言葉の意味を理解すると、彼女は「わかったわ」、と若干不愉快そうに聞こえなくもないトーンで応答した。彼女の答えに僕はにこりと笑ってみせる。








「それじゃ、これからはもう友達だ。改めてよろしくね。クレイさん」

「………クレイでいいわ」








彼女は微弱ながらも、ぴしゃりとそう言ってのける。了解したという意を込め首を縦に振った。








「―――それじゃ、クレイ。早速だけれど質問していいかな?」

「………何かしら?」








彼女は依然として不満そうにそう言った。僕はそんな彼女の様子に苦笑を漏らす。








「君さ、情報収集が得意みたいだけれど………。次の実戦テストについて、何か知ってることはある?」








そう質問すると、そうであったと言わんばかりに彼女は浮かない顔を崩すと急激に顔に色を取り戻し、先程までの勝ち気な口調で話を始めた。








「―――そうね。私が知っている事は、今から行われるテストは十人全ての間で行われるバトルロイヤルだということ、そして勝ち残った四人だけが試験をパス出来るサバイバル形式だ、ということよ。それ以外、これといった規定はないみたい。………まあ要するに、後は何でもあり、ってことね」

「サバイバル、か………」








僕は呟き、肘をついた。

………サバイバルであるならば、いかに最後まで体力を温存して、試合を決めるのかが重要になってくる。最後の最後まで逃げ続けてから、疲労しきった敵を仕留めるという作戦が脳裏にふと浮かんだが、あまりにも卑怯過ぎる気がした為にすぐ打ち消す。
だが、現在は汚いだの卑怯だの言っている場合でないことも確かであり、その作戦も視野に入れておくべきだろうか、と僕は考えた。

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