ラグナレク
「随分と、面倒そうだね」
他人事の如くぽつりと呟く僕へと、クレイの視線が向けられる。
顔を上げると、彼女と不意に目が合った。
「………そしてね」
何となく目を逸らす事も出来ずにもじもじとしていると、彼女が不敵に吊り上げていた口をゆっくりと開いた。
「―――私が貴方に話し掛けたのはその為なのよ、レイ」
「………どういうこと?」
少し弱々しい口調になってしまった事を後悔しつつ、僕は首を右に傾げてみせる。彼女は呆れた表情を隠そうとすることもなく、眉間に皺をぐっと凝縮したまま話を続けた。
「貴方なら解るでしょ?簡単な事―――このバトルロイヤル形式の実戦テスト、手を組んだ方が圧倒的に有利っていう事よ」
成る程。
僕は彼女が言わんとする事を理解し、今度は縦に頷いた。確かに辺りを見渡せば、既にチームらしき団体が一つ出来上がっている。
―――真っ先に思いついてもよさそうな作戦だが、それに反して汚い作戦ばかり考えていた自分が少し情けなくなるものだ。そんな事を考え、僕は顔を少しの間伏せる。脳裏にて考えを巡らしていると、後ろにいたバリーがぐいぐいと身を乗り出し、クレイへと出来る限りの厭味を浴びせる。
「なんだなんだぁ?要するにお前は、俺達に一緒に戦ってください、って言ってるのか?だったらもっと人にものを頼む態度ってのを―――」
「まあ、そうなるわね。ただし、あくまでも貴方《達》ではなく、私はレイ個人にお願いしているのよ?そこは誤解しないで頂戴。―――それで、返事は?イエス?ノー?」
「………そうだな」
僕は、後ろで暴れているバリーを押さえ込みながら再度脳を活性化させるべく額に手を添える。
―――彼女と手を組むのは、僕達にとって恐らくはマイナスにはならないだろう。少なからず、戦力になってはくれるはずだ。それに、クレイの情報収集力はあれば非常に心強いのも確かである。
バリーとの仲が気にならない訳でもないが―――まぁ大丈夫だろうと僕は楽観し、決断を下す。
「―――わかった」
僕の言葉に応じ、彼女の身体がぴくりと小さく撥ねる。
そんなクレイの様子に僕はくすりと笑い、次の言葉を発すべく鼻孔から空気を吸い込んだ。
他人事の如くぽつりと呟く僕へと、クレイの視線が向けられる。
顔を上げると、彼女と不意に目が合った。
「………そしてね」
何となく目を逸らす事も出来ずにもじもじとしていると、彼女が不敵に吊り上げていた口をゆっくりと開いた。
「―――私が貴方に話し掛けたのはその為なのよ、レイ」
「………どういうこと?」
少し弱々しい口調になってしまった事を後悔しつつ、僕は首を右に傾げてみせる。彼女は呆れた表情を隠そうとすることもなく、眉間に皺をぐっと凝縮したまま話を続けた。
「貴方なら解るでしょ?簡単な事―――このバトルロイヤル形式の実戦テスト、手を組んだ方が圧倒的に有利っていう事よ」
成る程。
僕は彼女が言わんとする事を理解し、今度は縦に頷いた。確かに辺りを見渡せば、既にチームらしき団体が一つ出来上がっている。
―――真っ先に思いついてもよさそうな作戦だが、それに反して汚い作戦ばかり考えていた自分が少し情けなくなるものだ。そんな事を考え、僕は顔を少しの間伏せる。脳裏にて考えを巡らしていると、後ろにいたバリーがぐいぐいと身を乗り出し、クレイへと出来る限りの厭味を浴びせる。
「なんだなんだぁ?要するにお前は、俺達に一緒に戦ってください、って言ってるのか?だったらもっと人にものを頼む態度ってのを―――」
「まあ、そうなるわね。ただし、あくまでも貴方《達》ではなく、私はレイ個人にお願いしているのよ?そこは誤解しないで頂戴。―――それで、返事は?イエス?ノー?」
「………そうだな」
僕は、後ろで暴れているバリーを押さえ込みながら再度脳を活性化させるべく額に手を添える。
―――彼女と手を組むのは、僕達にとって恐らくはマイナスにはならないだろう。少なからず、戦力になってはくれるはずだ。それに、クレイの情報収集力はあれば非常に心強いのも確かである。
バリーとの仲が気にならない訳でもないが―――まぁ大丈夫だろうと僕は楽観し、決断を下す。
「―――わかった」
僕の言葉に応じ、彼女の身体がぴくりと小さく撥ねる。
そんなクレイの様子に僕はくすりと笑い、次の言葉を発すべく鼻孔から空気を吸い込んだ。