ラグナレク
………そして僕達は、数十分の間他愛もない話を続けた。家族のこと、友人のこと、自分の隊のこと………。楽しい話題は、冷え固まった体を解すには丁度よかった。
バリーとクレイも、時々睨み合いはしても喧嘩はせず、どうにか仲良くしているようだった。僕は内心安堵しながら、胸を撫で下ろす。彼女はそれに気づき、僕に問い掛ける。
「―――あら、どうしたのかしら?何か、とても安心しているようだけれど」
彼女がくすくすと笑う。………どうやら、全てお見通しであるらしい。彼女はバリーが怒りださぬよう、常に笑顔でバリーと会話していた。その心遣いに感謝した僕は、何も言わずに頭を下げる。そんな僕の様子を見たバリーが、不信そうに僕に声をかけた。
「どうしたんだよ、いきなりコイツにぺこぺこお辞儀して………何か良いものでも貰ったのかよ」
「違うわよ、バリー。私はレイに何もあげてないわ―――ただ、感謝はしてもらわないといけないけれどね」
「はぁ?」
バリーは何が何だか解らない、といった様子で首を傾げる。そんな彼を見た僕とクレイは、顔を見合わせにやりと笑う。
「貴方にはきっと解らないでしょうね、バリー。まあ、そちらの方がやりやすいけれどね」
彼女は変わらず悪戯に笑う。バリーは自分が子供のような扱いを受けているのに微塵も気づいていないようだった。その証拠に、まるで僕達のことを変人を見るような目で見ていた。
クレイは楽しそうに目を細めたかと思うと、急に何かを思い出したかのように目をかっと見開いた。
「―――そういえば今、何時頃だったかしら………」
彼女は時計を見上げ、時刻を確認する。針が示す時間を口に出し自分で確かめると、静かにこう呟いた。
「―――あら、時間だわ」
「―――え?」
僕とバリーが声を合わせてそう言うか言わないか位のタイミングで、時計の両隣に設置された拡張器から声が響く。
突然の事に驚いた僕達は、皆一斉に音の出ている所を見つめる。固唾を飲み待ち続けると、拡張器からぬるりと音が漏れ始めた。
バリーとクレイも、時々睨み合いはしても喧嘩はせず、どうにか仲良くしているようだった。僕は内心安堵しながら、胸を撫で下ろす。彼女はそれに気づき、僕に問い掛ける。
「―――あら、どうしたのかしら?何か、とても安心しているようだけれど」
彼女がくすくすと笑う。………どうやら、全てお見通しであるらしい。彼女はバリーが怒りださぬよう、常に笑顔でバリーと会話していた。その心遣いに感謝した僕は、何も言わずに頭を下げる。そんな僕の様子を見たバリーが、不信そうに僕に声をかけた。
「どうしたんだよ、いきなりコイツにぺこぺこお辞儀して………何か良いものでも貰ったのかよ」
「違うわよ、バリー。私はレイに何もあげてないわ―――ただ、感謝はしてもらわないといけないけれどね」
「はぁ?」
バリーは何が何だか解らない、といった様子で首を傾げる。そんな彼を見た僕とクレイは、顔を見合わせにやりと笑う。
「貴方にはきっと解らないでしょうね、バリー。まあ、そちらの方がやりやすいけれどね」
彼女は変わらず悪戯に笑う。バリーは自分が子供のような扱いを受けているのに微塵も気づいていないようだった。その証拠に、まるで僕達のことを変人を見るような目で見ていた。
クレイは楽しそうに目を細めたかと思うと、急に何かを思い出したかのように目をかっと見開いた。
「―――そういえば今、何時頃だったかしら………」
彼女は時計を見上げ、時刻を確認する。針が示す時間を口に出し自分で確かめると、静かにこう呟いた。
「―――あら、時間だわ」
「―――え?」
僕とバリーが声を合わせてそう言うか言わないか位のタイミングで、時計の両隣に設置された拡張器から声が響く。
突然の事に驚いた僕達は、皆一斉に音の出ている所を見つめる。固唾を飲み待ち続けると、拡張器からぬるりと音が漏れ始めた。