ラグナレク
どたばたばたがっしゃんばたごとん、という不愉快極まりない騒音が僕の部屋の前で響いたのが耳に入り、もしや―――と思った僕は仰向けになった状態からむくりと起き上がり、恐る恐る扉を開け、顔だけを扉から出して左右を見渡し―――。
―――やれやれ、と首を左右に振りながら大きな溜息を吐いた。
そこに拡がっていたのは、あまりにも予想通り過ぎる光景。………おおまかに言えば、転んで床に落としたゲーム機、テーブルゲーム諸々、お菓子―――それらの非常に見覚えがあるものに囲まれて、大の字になっているバリーの姿が目に入ったのだった。
「―――何してるの、バリー」
大体の返答を想定しつつ、呆れたように僕は倒れている彼に尋ねる。
すると、目を白黒させていた彼がはっと起き上がり、気持ちの良い笑顔を作りながら僕を見た。
「何って………そりゃ勿論、決まってるだろうよレイ。さっき『また』っつったろ」
―――そういえば、そんな事も言っていたか。僕はぼんやりと思考を巡らせながら床にしゃがみ込む。
「………ま、そんなことだろうとは思ったけど。ほら、さっさと拾って。こんなの教官とかに見られたら、全部没収されちゃうかもよ」
荷物を拾い集めながら軽くそう脅すと、彼は小さく「げっ」と呻き、そそくさと床に散らばった物を拾い集める。
僕は両腕に収まる程度の荷物を抱き抱えると、部屋へと入り、荷物をベッドにぶちまけた。遅れて部屋に入ったバリーも同様にし、自分が持ってきたスナック菓子の一袋の封を切ると、手一杯に菓子を摘み、それを口へと放り込む。………あいつ、床に欠片落としすぎだろう。僕はバリーに掃除をさせることを決心しつつ、ポットに入った紅茶を真っ白い二つのマグカップに注ぐ。菓子を夢中になって貪っていたバリーは、机の上にマグカップが置かれるのを視認するや否や、腕を伸ばしてカップを掴み、菓子を流し込むように紅茶をごくごくと飲み干した。
品性の欠片も見当たらない彼の行動に溜息を漏らしていると、彼がベッドの上のトランプを手にし、僕の向かいの席にどっかと座った。
―――夜更けまでに何回、ポーカーで負かしてやろうか。
バリーが配るカードを受け取りながら、そんなことを考えてにやりとしてみせたのだった。
―――やれやれ、と首を左右に振りながら大きな溜息を吐いた。
そこに拡がっていたのは、あまりにも予想通り過ぎる光景。………おおまかに言えば、転んで床に落としたゲーム機、テーブルゲーム諸々、お菓子―――それらの非常に見覚えがあるものに囲まれて、大の字になっているバリーの姿が目に入ったのだった。
「―――何してるの、バリー」
大体の返答を想定しつつ、呆れたように僕は倒れている彼に尋ねる。
すると、目を白黒させていた彼がはっと起き上がり、気持ちの良い笑顔を作りながら僕を見た。
「何って………そりゃ勿論、決まってるだろうよレイ。さっき『また』っつったろ」
―――そういえば、そんな事も言っていたか。僕はぼんやりと思考を巡らせながら床にしゃがみ込む。
「………ま、そんなことだろうとは思ったけど。ほら、さっさと拾って。こんなの教官とかに見られたら、全部没収されちゃうかもよ」
荷物を拾い集めながら軽くそう脅すと、彼は小さく「げっ」と呻き、そそくさと床に散らばった物を拾い集める。
僕は両腕に収まる程度の荷物を抱き抱えると、部屋へと入り、荷物をベッドにぶちまけた。遅れて部屋に入ったバリーも同様にし、自分が持ってきたスナック菓子の一袋の封を切ると、手一杯に菓子を摘み、それを口へと放り込む。………あいつ、床に欠片落としすぎだろう。僕はバリーに掃除をさせることを決心しつつ、ポットに入った紅茶を真っ白い二つのマグカップに注ぐ。菓子を夢中になって貪っていたバリーは、机の上にマグカップが置かれるのを視認するや否や、腕を伸ばしてカップを掴み、菓子を流し込むように紅茶をごくごくと飲み干した。
品性の欠片も見当たらない彼の行動に溜息を漏らしていると、彼がベッドの上のトランプを手にし、僕の向かいの席にどっかと座った。
―――夜更けまでに何回、ポーカーで負かしてやろうか。
バリーが配るカードを受け取りながら、そんなことを考えてにやりとしてみせたのだった。