涙。(短編)
キツく締めていた夕貴が体の力をぬいて、見つめ合い…
私たちはキスをした。久しぶりのキスは少ししょっぱい…
そして切ない。
「ちゃんと…好きだから。美香だけが好きだから…。」
そう夕貴は言ってくれた。
泣き顔のまま…。
夕貴の涙は本当に綺麗…
その溢れ出す一粒をそっと拭う…
手紙と涙─…
私たちは本当の意味でやっと彼氏、彼女になれた。
私は今日のことを忘れない。
世界中探しても…
夕貴の涙より綺麗なものは
ないと思う。
「ねぇ、夕貴…」
「なに?」
「……もう一回だけ…」
「ん?」
─もう一回だけ泣いて?─
─私のために…─
終わり