恋(Ren)&愛(Ai)~叶わない恋~
戸城は俺の言葉の後も、黙ったまま

うつむいているだけだ。

どうしたら良いだろう。

「自分勝手なのは分かってる。
 カナに悪いのも……。
 でも、これ以上お前を好きでも
 ないのに付き合っていること
 なんてできない」
「馬鹿っ」

次の瞬間、戸城の平手が

俺のほほに飛んできた。

戸城を見ると、顔をわずかに

赤くして、涙目になっていた。

「だったら……、だったら初めから
 好きだなんて言わないでよっ。
 大好きだったのに……、
 期待させないでよっ」

俺は言葉を返せなかった。

申し訳なくて、後ろめたくて。

戸城は泣いていた。
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