王子様とお姫様
「千嘉…中学の頃すごいガリ勉で
髪はボサボサの二つ縛り
流行なんて全く気にしない大きいメガネ
スカート丈は膝下10㌢
超ダサくてキモい奴で友達なんて1人も居なかったし
欲しいなんて思わなかった
まぁ友達なら今もいらないけど
それで中3の時
私立の特待の受験の日
勉強のし過ぎで体調がすごい悪くて
受験会場の廊下で倒れたの
もちろんキモい千嘉に同じ中学の子は手も貸してくれなかった
他の中学の子も見てみぬふり
人ってこんなに冷たいものなんだって実感した
でもそんな千嘉に
“大丈夫?”
って声をかけてくれた人がいた
驚いて顔を上げると
目の前に膝を着いた男の子がいたの
その男の子はあっという間に千嘉を抱えあげて保健室に連れてってくれた
薄い茶色の髪に
白い肌
高い身長
そしてこんな千嘉に優しくしてくれるなんて
もう王子様にしか見えなかった
そして保健室に千嘉を届けた彼は
千嘉の参考書を見て一言
“君頭良いんだね?
俺超バカだからさ西高しか行けねぇって言われてんだよね、
まっお互い頑張ろう!!
じゃあね”
って…そう言って男の子は去っていったの」
「それが愛武だったわけ?」